白髪姫と七ヶ月の格闘たち

思い立って、白髪染めから卒業しました。おそらく七ヶ月でグレイヘアになってるハズ。挫折防止のために、ここに記録を残します。

12月生まれの子どもたち、そして大人たちへ

桜の花の妖精

 

プクッ、プクプクッ。

 

だれにも気付かれないように、

でも、だれかに気付かれたいような

ウキウキした気持ちにつつまれて、

つぼみのひとつひとつに

花の妖精はやどります。

 

花びらがひらくころには

ちゃんと飛べるようになるのですが

つぼみの中でまるくなっている今はまだ

羽が小さすぎて飛べないのです。

 

プクッ、プクプクッ。

 

だれにも気付かれないように、

でも、だれかに気付かれたいような

ウキウキした気持ちにつつまれて、

つぼみの中で花の妖精は成長してゆきます。

 

せなかについた

やわらかくて小さな羽が、

どんどん丈夫で

りっぱな羽になってゆくのです。

 

それは桜の花でした。

 

もうすぐ満開になって、

妖精たちは大空をはばたくのです。

 

「いたいっ」

 

不意につよいしょうげきを感じた

つぼみがありました。

 

人間のこどもが、つぼみをむしって

ほうり投げたのです。

 

つぼみの中の妖精は、

まだ羽が小さすぎて飛べません。

むしられたつぼみは、

ひらくこともできません。

 

「たすけてぇ」

 

つぼみの中の妖精の声をききつけたスズメが、

そっとそのつぼみをくわえて、

ぐぅんと空高くまいあがりました。

 

どんどん、どんどん、

とんでゆきます。

 

うんと高いところ、

雲がたくさんあるところまでやってきました。

 

「ここですこし、まってるといいよ」

 

スズメが言いました。

 

「この雲たちはどれも、

 花をさかせる力がある雲なんだ」

 

なるほど、花をさかせる雲だからでしょうか。

そこには色とりどりの雲があったのです。

 

「キミはピンク色のつぼみにはいってるから、

 ピンク色の雲がいいね」

 

そう言ってスズメは、桜のつぼみをやさしく

ピンク色の雲の上におきました。

 

やがてつぼみはひらき、中から

ピンク色の羽をもった妖精が生まれました。

 

雲のすきまから下を見ると、

もともとその妖精のつぼみがいた桜も

満開でした。

 

その満開の桜から、次々と妖精が飛び出して

この雲に向かっています。

 

「みんな、わたしのこと、

 しんぱいしてくれてたんだ」

 

雲の上の妖精は、

なんだかうれしくなりました。

 

 

 

と。

 

そんななかまの妖精たちが飛び立ったあとの桜を、

見上げている人間がいました。

 

それはまるで、

妖精の姿が見えるかのように。

 

じっさい、人間に

妖精の姿は見えないはずなのですが。

 

「やあ、よかった。 

 ぼくたちより、

 羽のピンク色がきれいだね」

 

ひさしぶりに会うなかまたちに羽をほめられて、

雲の上の妖精はさらにうれしくなりました。

 

だけどそんなことよりも、

気になることがあるのです。

 

「あなたたちを見上げてた人間、

 なんだかさみしそうじゃなかった?」

 

「そうかな? 

 ずっと見てるだけの、

 へんな人間だったよ」

 

なかまの妖精たちは、

気にならないようでした。

 

でも、雲の上の妖精の目には、

ほんとうにさみしそうに見えたのです。

 

「ねえ、わたし、

 あの人間のところに行く」

 

いきなりそう言った雲の上の妖精を、

なかまたちは口々にとめました。

 

「だめだよ、せっかく会えたのに」

 

「そうよ。それより

 いっしょにおどりましょうよ」

 

「だいたい、

 人間のところになんか行ったら・・・」

 

花の妖精が人間のところへ行くと、

つぼみの中にいる時間とは

くらべものにならないくらい長いあいだ

人間の中に入っていなければなりません。

 

しかも、つぼみの中とは逆に、

だんだん羽が小さくなって、

さいごにはなくなってしまうのです。

 

「飛べなくなっても、いいの。

 わたしは、あの人間のところへ行く」

 

妖精はぽんっとピンク色の雲から飛びおり、

そのまま満開の桜にむかって飛んでゆきました。

 

「わたしには、見える。

 あの人間には、

 ちゃんと羽がついているのが。

 そしてわたしも、

 羽を失うことはないんだわ」

 

桜の花の妖精は、

だれにも気付かれないように、

でも、だれかに気付かれたいような

ウキウキした気持ちにつつまれて、

 

その人間にやどりました。

 

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今日はクリスマス・イブ。

なのにどうして、

桜の花のおはなしなの?

と思われたかもしれません。

 

実は、桜とサンタクロースは

大の仲良しなのです。

桜の妖精から転生して

人間に生まれ変わるときは

12月に生まれることが多いので

 

サンタクロースはいつだって

12月に生まれてくる赤ちゃんのことを

仲良しの桜さんの子どもかも? と

見守ってくれているのです。

 

Merry X’mas!!